第81回「イノベーションを考える」(板紙段ボール新聞R3年4月7日付)掲載より

コンビニに行くと必ずスイーツコーナーを眺めていますが、和洋中百花繚乱。よくもこれだけ新製品が生まれるものだと開発力に感心し、「品評のため」手を出してしまいます。

本紙2月27号に掲載頂いた記事(大判プリンター・オンラインセミナー)の中でピーター・ドラッガー氏は、顧客の創造はマーケティング「顧客ニーズに合致した価値を提供すること」とイノベーション「今までにない新しい価値を作る」と定義していること話しましたが、このカステラのパッケージを見て、イノベーションとはこれだ!と思わず買ってしまいました。

  

カステラは天保年間にポルトガル人が長崎にもたらした、いわばスイーツの元祖みたいな存在。そして昔も今もレンガくらいの塊が紙器箱に入っているのが変わらぬ伝統です。創業120年の市店本舗は味も形も変えないと信じていました。

ときどき食べたくなるものの…食べ盛りの子供があいれば消化できるけど、一人だけではとてもレンガサイズは食べきれない。そんな筆者の目の前に現れたこのパッケージ、小さなカステラが2個だけ入った食べきりサイズ。コロナ禍の中、お茶会もできないとなればリモートで…という時にも使える。これこそ新たな需要を生み出すイノベーションだと思いました。

そして、筆者の心を確実に動かしたのは、あの懐かしい「カステラ一番、電話は二番、三時の…」の歌詞と踊るこぐまたち。このパッケージは子供たちだけでなく、中高年層を間違いなく獲得しているはずです。改めて六面体の大きな力を再確認しておりました。