第68回「環境教育を受けた世代は今」(板紙段ボール新聞R2年3月7日付)掲載より

先月、第67回本コラムで、今から30年前にすでに環境教育がドイツの幼稚園で行われていたことを書きましたが、この子供たちが社会で活躍するようになった今、意識と行動についてどのようになっているか?とても興味深いレポートを入手できました。

  

ヨーロッパ段ボール普及協会(PRO CARTON) のトニー・ヒッチン氏の興味深いレポートによると、欧州の19歳から29歳までの若者の80%が 「環境に配慮することは、自分と家族のためにますます重要な事柄になった」と回答。さらに調査を行った欧州7か国の消費者の75%が「商品を買う際にそのパッケージの環境への影響具合も見極めて決める」とし、若い消費者層はその傾向が強く、19~29歳の62%がパッケージに環境問題がある場合は「商品のブランドを変える」と答えているのに対し60歳以上では35%とのことでした。

さらに、我々業界人にとって嬉しい事は、実に81%の回答者が、「選択肢があればプラスチックよりも板紙・段ボールのパッケージを選ぶ」としています。

こうした社会の趨勢から、ブランドオーナーが積極的に環境に配慮した素材への移行を加速化させています。昨今、環境配慮のキーワードを3R、 Reduce(リデュース;抑制)、Reuse(リユース;再使用)、Recycle(リサイクル;再生利用)からRenew(レニュー;再生)、Replace(リプレイス;置換)を加えて”5R”と言われるようになりました。Renewは真に再生可能なパッケージ素材を選択すること、Replaceはブランドオーナーや小売業者が、環境への配慮が不十分な素材を置き換えるという「責任ある行動をとること」を意味しています。

最後に、環境への負荷が少なくなるパッケージに対して価格アップを受け入れるかの問いに対しては、10%の値上げならば受け入れるが20%、20%の値上げは5%というのが最新結果とのことですが、今後こうしたテーマに対する合意形成は進んでいくことと思います。

写真は、スイス・ジュネーブ空港に掲出された多国籍大手段ボールスマーフィット・カパ社の広告「持続可能な世界のためのパッケージを作ろう」。板紙・段ボール産業がこれからの世界をリードするという力強いメッセージと感じ嬉しくなりました。