第64回「加速する脱プラ社会で」(板紙段ボール新聞R1年11月7日付)掲載より

深刻化する海洋汚染、シングルユースのプラスチック。当面段ボールは安泰と思いますが、欧州ではプラスチックのリサイクルが目標設定されました。我々にもイノベーションが求められています。

  

全段連の段ボールセミナーが琵琶湖畔で開催された翌週、スイス・レマン湖畔で欧州段ボール連盟(FEFCO)の段ボールセミナーが開催され参加してきました。テーマは多岐にわたりましたが、環境先進国家の集まりだけに「持続可能性(サステナビリティ)社会」と「循環型経済(サーキュラー・エコノミー)における欧州プラスチック戦略」の講演に参加者の関心がひと際高かったようです。

とりわけ、欧州連合(EU)は2030年までに全てのプラスチック包装のりサイクルを目指しており、それまでにも再来年から開始するストローやフォーク、皿などのプラスチック使用禁止と急速な社会変化が始まっているだけに段ボール業界もこれをチャンスと捉えようという雰囲気でした。

現在、EUにおける包装では段ボールのシェアが36%、回収率が85%。北欧のような広い国土に少ない人口であるため回収の非効率よりバージンパルプを選ぶ国もあり、日本より数値的には劣りますが、今日の変化の中で一層数値を高めようと訴えていました。

ユーザーたちは消費者、株主、行政の益々強くなる持続可能性社会への対応が求められていることから、段ボール産業はより提案力を高める必要性があるとしています。たとえば通販において、中身に対して大き過ぎる箱では積載効率が著しく悪い。大量生産、大量輸送のために考案されたA式ケースではパーソナライズアイテム、家庭に届く荷物として、もはや受け入れられないなど今やイノベーションに敏感であるべき産業だと認識しました。