第63回「わずか一滴の話」(板紙段ボール新聞R1年10月7日付)掲載より

段ボール産業ではTFP(全要素生産性)向上による総実働時間削減を推進していますが、関連産業の私たちも「お手伝いできることは微力でも」との想いで活動しています。

  

打抜きは「ロータリー」か「平盤」か、という議論が長年繰り返されてきました。結局は用途により両者を上手く使い分けることがベストアンサーで、短時間で大量にダイカッターする場合にはロータリーが推奨されます。

ロータリー機の高速性能を最大限引き出すために、抜型メーカーは高精度のロータリーダイを製造していますが、私たちもこれに対応する高反撥、耐摩耗性ゴムをお届けしています。

そしてこのほど、こうした厳しい環境下でのゴムを抜型ベニヤに強力に固着する瞬間接着剤をラインナップにしました。

従来に瞬間接着剤は、多目的に開発されているため、瞬間対象物も、使用する人も様々であり、すべての点で平均点レベルの性質を持っています。

これに対する新開発の『シトーロータリーラバータック』ですが、用途は「抜型ゴムと弧を描いたベニヤとの接着」で、使う人は短時間でゴム貼りができるプロフェッショナル仕様。使用されるシーンは高速回転、高圧、連続運転という過酷な製函ライン。そして、求められる条件は絶対に剥がれないこととなります。

こうした要点を基に作られた接着だけに、あまりにも当たり前で…その良さを現場の段ボール工場皆様には気づいていただけないのが難点。唯一、お気づきになって下さったのはロータリーダイのゴム付けプロの方。「1カ所の接着がわずか2秒と最速のセット、型の制作時間が短くなった」との声でした。さすがです。

TEPの取り組みでは余りに影が薄い存在ですが抜型の制作時間短縮、製函現場での運転速度アップ、チョコ停削減につながる一滴ならば嬉しいと思っています。