第117回 『人口減社会の箱作り 4』(板紙段ボール新聞R6年4月7日付)  掲載より

製造現場にこの春も真新しい制服の若者たちが登場したことでしょう。しかし、めでたいこの光景がいつまで続くか心配になります。

厚労省の人口動態統計速報値によると、2023年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は過去最少の75万人と22年から5%減り、少子化が一段と進みました。一方で、現在の就業場所の数は国・地方公共団体を含めると529万事業所。20年後はその数がどれくらいか予測できませんが、その時オペレーターさんの採用は至難の業と容易に想像できます。

こうした中、世界最先端の技術開発力を持つスイス・ボブスト社では無人生産の実現が視野に入っているとのことです。とは言っても、人手不足から

いきなり無人生産への切り替えはほぼ不可能、なぜなら今の人海戦術の生産活動こそ柔軟性に富み、あらゆるバリエーション、例外事象にも確実に対応できているわけでこれの無人化は難しい。

筆者が考える無人化へのプロセスは、毎年の社員採用と並行して、定型作業を同様のスパンでひとつずつでも可能な限り機械に置き換える取組み。例えば糊付けするロボット、イタリア・アンジェレリ社の自動糊付けプロッター=写真=は、CADで塗布位置を指示すると糊付けを時間、毎日休むことなくやってくれます。こうした現場作業の部分的機械化を毎年重ねることで人材不安なく安定生産ができると思います。