第52回「抜型ゴムと働き方改革②」(板紙段ボール新聞H30年11月7日付)掲載より

紙器段ボールそして抜型製造現場で喫緊の課題である「長時間労働の是正」を打抜資材でどう実現するか。今回は段ボール平盤ダイカッター用抜型ゴムでチャレンジします。

  

A式ケースであれば、FFG各社がスピード競争を繰り広げているため、最新マシンを導入すれば時間あたりの出来高が上がり、労働時間削減は顕著になります。

しかし、昨今シェルフレディパッケージなど高機能段ボールの増加で平盤ダイカッターでの全抜きニーズも高まっています。筋押刃、切れば、ミシン刃、リード罫が埋め込まれ、抜型は1回ごとのプレスで「製品」と「外周カス」を分離、折れ筋とミシン目をつけ、不要な「カス」を撥ね出すことを同時に確実に行わなければなりません。

これまでは「経験と勘」を頼りに適切と思われる硬さと高さのコルクやスポンジを抜型に貼ってきましたが、それぞれの素材は他産業向けに作られたため、時として打抜きに求められる安定性が足りず、切れ不良や紙詰まりなどのトラブルの原因となりました。

こうした中で、最近開発された『シトーソリッドラバー』シリーズは高反発性、高耐摩耗性の新素材を用途ごとに、抜型の貼る場所に合わせて特殊形状に仕上げたため、これを使い分けることでチョコ停を低減、より高速で、美しい切り口、ライナ割れも抑えた生産が可能です。

加えてある現場では抜圧も230tから160tと30%下げて打抜け、抜型と機械への負担も軽減されました。さらに、仕様ごとに8色の色分けをしたため抜型製造現場でも適切な刃に最適な抜型ゴムを瞬時に貼れて、作業時間、検品時間の削減になったとのことでした。

ちょっと資材を変えただけで得られる時短、こんな簡単なソリューションは「ボトムアップでできる改革」でしょう。