第49回「デザイナーがオペレータ」(板紙段ボール新聞H30年8月7日付)掲載より

日本より先に農産物の輸出を本格化させた韓国。前回は青果物トレイについてレポートしましたが、今回ソウルで印刷のデジタル生産現場に潜入、ビジネスの秘訣を聞きましたので報告します。

  

訪問した会社は製薬品や化粧品向けのシール、ラベルをオフセット、グラビア、スクリーン印刷機合計10台で対応。これだけのマシンのバリエーションからほぼ顧客ニーズには対応可能と思われますが、同社のポリシー゛絶えず先端の印刷技術の追求゛から3年前にHP社のデジタル機「インディゴ」を導入しました。現在2台が合計年間500万ショット、約50万mを印刷しています。

活躍の場は、ひとつのオーダーが500m以下の場合、または可変データ、トレーサービリティといったデジタルならではの特殊印刷と考えていたそうですが、今日では大ロットであってもクライアントの要求が①高付加価値優先の時、②とりわけ厳しい印刷品質を求めピンホールなど不良ゼロ、③プロ仕上がりの写真品質、④デジタル仕上を指定しているときはデジタル印刷としているそうです。

しかし、印刷部長は「デジタルのお陰でお客さんの゛こんなことやりたい゛がどんどんカタチにできるようになりました」と笑顔で答えてくださいました。

大きな発見は、デザインチームの横に印刷機が置かれていたこと。デザイナーさんの数名がインディゴを連転できるため、クライアントの想いをそのまま試作品としてプレゼント、検討し、スピーディーで確実な顧客満足度の高い製品作りにつながっているそうです。

このようなところで典型的な受注産業と言われてきた印刷業が「ソリューション事業」に変わったことを実感したのでした。