第27回 200年企業の掟(板紙段ボール新聞H28年10月7日付)掲載より

前回、前々回で段ボール新規参入企業を取り上げましたが、今回は創業1778年、200年以上の歴史を持つ段ボール会社の現場からレポートします。

  

今回はドイツワインで有名なモーゼル川がライン河に注ぎ込む、ラインラントファルツ地方の一貫メーカーのお話です。あれ?世界の段ボールの歴史は160年…計算が合いません。実は、スタートは製紙工場からで段ボール事業は第二次大戦後のことです。

長寿企業の共通点は日本もドイツも驚くほど似ており、外に対しては柔軟性、内に対しては一貫性。つまり、この会社が社内で守り続ける掟のひとつは、自分達が使う機械は自分達で修理しようというものです。ですから新台が機械メーカーの手で納品、据え付けられたら、以降は一切メンテナンスや修理にメーカーを呼ぶことはないそうです。このため、先ずは自分達で機械を徹底して勉強しメカニズムを熟知。そうしておけば、故障しても迅速な修理ができます。

この企業の強みは顧客ニーズへの柔軟な対応。シンプルな茶ライナの輸送箱から、UV ニスを施したフレキソダイレクト多色印刷ケース、POP什器まで豊富な商品提供にあります。

より美しい印刷のためには印刷オペレータの技術研修、資材選択のみならず、時には自 分達で機械を改造してしまうそうです。より上質な段ボールを作ることで競争力を高めようと工場一丸となって力を合わせています。

今日では、段ボール機械もハイテク化し、人が機械に使われている感じがしてしまいますが、この工場の18世紀からの精神〝自分の道具を他人に任せない”は今の時代も受け継がれています。

今世紀創業の会社と、7代も続く今回の会社、どちらにも大いに感動した旅でした。