第26回 お土産のダ・ヴィンチ(板紙段ボール新聞H28年9月7日付)掲載より

前回は、デジタル技術による段ボール生産面でのイノベーションを取り上げましたが、今回は「商品の売り方のイノベーション」を紙器・段ボールの視点から考えてみます。

  

今年の夏休みは徳島で過ごし、西洋名画を1000点以上原寸大で複製展示する美術館を訪れて世界を旅した気分を味わいました。有名な作品を堪能した後はギャラリーショップで画集や、絵画をモチーフにしたグッズがどうしても欲しくなるものです。自分自身に、そして知人へのお土産に…と、いつもの衝動買いが始まってしまいます。

そんな中、一際売れていたのがレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」が美しくプリントされた印刷紙器に入った焼き菓子セット。

たとえ、この絵に興味が無い人へのお土産でも、中味を味わってもらえれば良いし、価格が540円と手頃で選びやすいアイテムといえるでしょう。横長の原画と活かした箱はお菓子を詰めやすく、私も思わず数個買ってしまいました。

「国内景気は穏やかな回復基調と言えども、個人消費が一向に伸びない」と報じられる昨今、なかなか画期的な新商品が出にくい食品業界も同様に伸び悩んでいます。スーパ ー、コンビニも飽和状態になると売上増は期待できません。 そんな中で”美術館でお菓子を売る”というセールスのイノベーションがパッケージの工夫で実現できたわけです。

この事例のように今までに無い、常識にとらわれない発想で、「○○で△△を売る」とか「段ボールで口口を創る」などを考えることでイノベーションが起こせる! とお土産を結局自分で食べながら実感しました。