第15回 企業統合、そのとき現場は(板紙段ボール新聞H27年10月7日付)掲載より

原紙倉庫やコルゲータ、印刷機、印判など段ボール工場の構成は基本的にどこも同じですが、別会社の工場が同じグループに統合された時、どう融合していくのでしょうか?イタリアの現場へ、その答えは意外でした。

イタリア・ミラノから車で1時間ほど、ヨーロッパ多国籍大手段ボールグループの工場を見学しました。同社は買収を重ねたため近隣にあと3つの工場が稼働しています。一般的には工場の統廃合が行なわれるところですが、目下それが行われていないのは、地域柄工業も農業も盛んで仕事が確保できているためと思われます。

このため、機能別にA式ケースと農産向けオープントレイ、大型ケースを生産する輸送箱を中心に生産する工場と、高付加価値段ボール製品いわゆるバリューボックスを生産する工場に仕分けしたそうです。これに伴い、外装ケースが主体となる前者には幅3メートルを超えるロータリーダイカッターやFFGが、一方、後者にはプロセス印刷が出来るフレキソ6色機など美粧印刷機が集められました。

後者では印刷オペレーターが配置されています。興味深いのは組織長で「地域4工場管轄部長」というポスト。個々の工場に工場長がいるのではなく、4工場をまとめて監督する長がいるのです。

昨今、日本の私鉄でも各駅にいた駅長を、複数の駅を管理する駅務区長に変化しているのと似ていますが、工場の統合時は旧組織のカベを崩すためにも良いのではと思いました。現場には改善活動、5S活動が取り入れられ、驚いたことに工場内の生産ラインのそばに持ち込まれたコンテナハウスは「ミーティングルームGEMBA」と称して「カイゼン話し合い」が手軽に行えるようになっています。

異なった企業文化、まして外国人も一緒に働く現場においては意思疎通が肝心です。改善意識の向上と5Sの習慣化は組織をまとめる、育てる観点から、カイゼンは日本製の優れた道具(手段)だと思いました。