第77回「SDGSを作ってみよう」(板紙段ボール新聞R2年12月7日付)掲載より

今年もっとも耳にした言葉は新型コロナ関連でしたが、SDGs (Sustainable Development Goals持続/持続可能な開発目標)も目立っていました。15年9月の国連サミットで採択されたより良い世界を目指すための国際目標ですが、国民も企業もこれから意識して行動すべきですね。ユーザーとパッケージメーカーの取り組み事例を紹介します。

 

ドイツ包装協会(DVI)が今年の最優秀賞に選んだパッケージは、SDGsを視野に入れたものと読み取れる内容でした。ヨーロッパ多国籍大手段ボールのDSスミス社が作った、世界最大の食品・飲料メーカーであるネスレ社の「シリアル向け段ボールディスプレイ」です。

シリアルが朝食に欠かせない米国をはじめ世界で売られているロングセラー「チェリオス」のハニーシリーズ用に作られたもので、SDGs視点の特長は「ハニー」と「ハニー&チョコ」テイストの全粒粉シリアルは最も優れたオーガニック品質の原材料から作られ、栄養評価スコアが高いという点。

そしてもう一つは、この商品を1箱購入すると10€セントが人と環境のための財団(非営利団体)に寄付され、絶滅に瀬したドイツの野生ミツバチの巣作りを手助けする目的に使われます。

こうしたネスレ社の取り組みを見事に段ボールディスプレイにDSスミス社は反映させ、高精細印刷で花咲く草原風景を再現、ディスプレイのまわりには、本物の自然の中にいるように沢山の段ボール製POPの働き蜂が飛びまわっています。

トレイに整然と陳列されたオーガニック製品とそれに関連した環境保護キャンペーンに離れた位置からでも買い物客の注意を引きます。そして当然ながら使われている素材は100%再生可能です。

SDGsの好事例とともにペンを置きます。今年もお読み頂きありがとうございました。