6年ぶりにChina Print(北京国際印刷技術展2025)を3日間見学しました。現地で見たまま、感じたままをお伝えしたく、お付き合い宜しくお願い致します。
ホテルから会場まで徒歩15分、かつてのクラクション鳴らし放題、カオスだった運転マナーは改善され、さらにガソリン車の比率が大きく下がったことで、なんとも静かなこと。歩道は植林されゴミも落ちていないのは驚きでした。
会場に入ると、存在感を放つのが「数字印刷机」、すなわちデジタル印刷機。日系ブランドは全て出展しており安心しましたが、商業印刷向けも、段ボール印刷向けも、新しいメーカーが出現しています。日本では今ひとつ伸びない美粧段ボールですが、日本市場に合致するのではないかと思ったのは、単色ベタ印刷のデジタルプリンター。小ロット向けなら速度が毎分40枚でも、セット替えが不要なら生産性で問題は無いかと思います。
そして筆者が感心したのは印刷機、加工機械ともデザインが流麗なこと。これは先進的デザインで有名な、イスラエルのランダ社に刺激されたのかと思います。また、各社プレゼンで〝付加価値〟という言葉がよく聞かれました。これが中国市場におけるニーズと解釈しました。
さらに人口が多い中国とはいえ、近年は少子高齢化が急速に進み、人手不足の懸念も叫ばれています。AIやロボットでできることは積極的に置き換えるという発想で、紙器のグルアーラインは出荷包装まで無人でできるモジュールも数社が発表していました。もちろん、自国での対策とともに、より人口減少が進む海外市場での展開も視野に入れているでしょう。
今回の来場者数は、この記事の入稿後にわかると思いますが盛況で、展示マシンには、「ご成約」の装飾がどんどん増えていきました。何しろ、見本市に買い付けに来る社長たちは多く、入場登録の質問事項に、「会場お買い物予算は?」の項目があり、100万元(1元=20円換算で、2千万円)の欄も。中国経済は失速、との記事が日本の経済紙には踊りますが、今回の見本市を見る限りは感じられませんでした。そして、筆者にとって気持ち良かった?のはプラ包装関連の出展がほとんど見られなかったこと。これは「緑客族」と呼ばれる低炭素なライフスタイルが中国の若年層を中心に広まっているからかもしれません。