第126回『抜型職人の右腕』(板紙段ボール新聞R7年1月7日付)  掲載より

〝人手不足〟の文字が一般紙に載らなかった日はなかった2024年、板紙段ボール業界も越年の課題となっています。生産人口の減少を抑止する決定打が無い日本にあっては、今の人材でどうやり繰りし発展につなげていくか、チャレンジの連続と言えます。

我々のもっとも重要な周辺産業のひとつに抜型メーカーがあります。紙のグレードやスペックが俄然、多様化する一方で、脱プラに伴い増える緩衝材など構造の複雑化、短納期、そしてコスト圧力と取り巻く環境はより厳しくなっています。しかしながら抜型はじめ職人の技術レベルによって品質が左右される傾向が強いがゆえに、近代化へのステップが容易ではない産業です。

限られた職人さんで高品質な抜型を短時間で安全で確実に仕上げるための技術を私たちはいつも考えてきました。当社の創成期からのロングセラー商品『ワンタッチスポンジ』、刃交換作業の省力化に『ルールプラー』、カラーバリエーションで硬度が判る『ポリトップ』、一昨年は完璧なカス落ちを保証するカストリ型を無人生産できる『ボックスラインシステム』と資材から最新テクノロジーまでお届けしてきました。

そして、今年は世界初の抜型ゴム貼りロボットを提案したいと思います。開発したのはイタリアの大手抜型メーカーフォッパ・フステレ社

を傘下に持つプロフォルム社で、抜型製造の最終工程のゴム貼りを自動化させました。

すでに、日本でもゴムのカット機を見ることができますが、これをベニヤに貼るのは人手に頼っています。このロボットは『ルボット』=写真=と称し、あたかもパズルのようにカットされ並んだゴムシートから、ビデオ検出システムでゴム片を見つけ、ロボットアームで抜型上の正確な位置に貼り付けます。

『ルボット』はこの抜型工場で1シフトあた12版のゴム貼りを手伝っているそうです。まちがいなく、職人さんの負荷を大きく軽減しているとのことです。