第124回『観光は箱の重要を押し上げる?』(板紙段ボール新聞R6年11月7日付)  掲載より

政府観光局によると、2024年の訪日外国人旅行者数(推計値)は1~9月の累計で約2688万人。日本全国を旅する外国人の姿をたくさん目にします。しかし、筆者が京都の紙加工産業のとある会合に参加し報告されたのは、外国人観光客が増えてもお漬物、和菓子を買わないのでプラス効果は見えないということでした。

先月、年間8200万人の外国人観光客が押し寄せるスペイン、そのハイライトと云える地中海に面したバルセロナで、観光は紙器段ボール産業に寄与するかを尋ねました。その答えは大いに貢献しているというものでした。ホテル、レストラン、アトラクションに落ちるお金は多く、同国のGDPの10%以上になるとのこと。とりわけ観光客にとってスペイングルメは最大の楽しみ、この時とばかりに高級ワインや美味しい料理を求めて昼夜街をさまよいます。これにより一般消費とは異なる高級食材などが消費されます。

それらは確かにブランディングされており、大いに差別化されていることは、外装箱や段ボールトレイを見れば明らかです。日本でも地方の酒蔵、ワイナリーや農業法人がブランディングに力を入れ、独自の優れたデザイン、色彩の箱で直接板前さん、シェフさんにみずみずしい食材が届けられたら、生産者(ユーザー)も紙器段ボール事業者もさらなる成長へとつながると容易に考えられます。