第103回 『チャレンジする社会に』(板紙段ボール新聞R5年2月7日付)  掲載より

コロナの影響で制限されていた外国人の入国が解除され、大勢の観光客が戻った2023年初春。都内は久々に活況が戻り割安感からアジアからの観光客は高級品を爆買いし、豪華ホテルに宿泊、豪華な飲食となんとも大胆にお金が使えて羨ましくなります。

私が社会人になった1980年代、日本はアジアにおいてライフスタイル、企業経営、生産技術など全てのお手本でした。あれから40年、昨年国民ひとりあたりのGDPと給与で日本を追い越した、お隣「台湾」の業界人と新春放談を行いました。

コロナ禍でありながら経済成長を図り2021年の実質GDP伸び率は6・53%、その牽引役は世界シェアでトップの半導体やハイテク産業ですが段ボールも各社が製造能力を拡大し、World Paper Market Viewの報道では、20年の台湾島内の段ボール生産の能力は23億㎡/年で、前年の21億㎡から約10%増加したとのこと。これについては、経営者は企業の成長、そのためには一日の出来高を昨日より今日、今日より明日と増やすことを最大の関心事として現場と共に改善活動をしているそうです。

台湾のみならず、アジアのどの国でも製造現場では生産性を50%アップ、製造コストを20%ダウンといったチャレンジが当たり前とのことです。台湾以外にもアジア各国を取材されていますが、我が日本について「最大関心は品質第一、ゼロディフェクト」という点がユニークに映るようです。安定した生産のためには築き上げた生産方式を堅持しよう、不良発生リスクを無くすためにやり方を変えない、生産速度は上げられないという組織風土になっていると評していました。
これはいささか耳が痛い話ですが、日本の生産性が上がらない、GDPもランクがドンドン落ちることに…つながっている話ではないでしょうか。

「成長無くして分配無し」の通り、会社にゆとり、社員の豊かな生活の実現のために今年は、生産性向上に向けドライブをかけ日本全体の底上げを図るべきと思いました。

 

 

=写真は台湾段ボール大手・永豊餘(えいほうよう)社の有機野菜オンラインショッピングセット=