第32回「安全に敏感な組織風土」(板紙段ボール新聞H29年3月7日付)掲載より

前回に引き続き、「ゼロ災達成」のための安全マネジメントが高レベルで全社的に展開されている、日本人にとっては身近な現場からレポートします。

  

鉄道業界は事故が一度発生すると、顧客と従業員双方に被害が及び、さらに列車運休や遅延は社会生活に直接的かつ膨大な影響を及ぼすためゼロディフェクトが必達目標です。

東京と神奈川に路線を持つこの大手私鉄では”組織全体が安全に敏感な風土・文化へ”を合言葉に、経営トップから新入社員まで一体感をもって取り組んでいます=写真=。現場情報の可視化、事故の真相・背景の追求、事故の未然防止に向け想像力・洞察力を働かせる…など、これらが徹底できる組織を目指し本社と現場が連携しています。

たとえば毎月19日を「安全の日」とし各部課長が現場巡視、経営層管理職による”現場活性化””コミュニケーションのパイプを太くする”等のテーマでブレインストーミング。また、15分以上の電車遅れが見込まれる場合は社長の携帯にメールが飛びます。そして「うちの駅の階段が滑りやすい」「朝日で信号が見にくい」といった改善、是正提案が現場から次々にあがることで事故が起き難い現場作りになっていると教えて頂きました。事故が起きないのが当たり前の会社の仕組み、我々の産業も参考になると思います。

この取材をした帰りの駅で、自己中心的な駆け込み乗車はもうしません・・・と誓ったのでありました。