第143回 『新しい価値を考えよう』(板紙段ボール新聞R8年6月7日付)掲載より

今年、段ボール業界の門を叩いた新入社員の皆さん、入社から早2カ月が経ちましたが、今どんな思いをお持ちでしょうか。
皆さんが立っているのは単なる「製造業」の現場ではありません。現在、国内の段ボール生産量は漸減傾向にありますが、私たちは今まさに、このグラフを「再び成長軌道に乗せる」という、非常にワクワクするミッションの渦中にいます。この転換期に立ち会えることは、皆さんのキャリアにおいて大きなチャンスなのです。

しかし、その達成には乗り越えるべき壁があります。それは、日本の市場における「環境意識」の現状です。残念ながら、地球温暖化に対する危機意識が世界に比して高いとは言えません。その結果、比較的安価なプラスチックやフィルム包装が依然として大量に流通しています。新社会人の皆さんにまず取り組んでほしいのは、「正確な情報を仕入れ、学び続けること」です。例えば、全国段ボール工業組合連合会(全段連)のホームページでは、プラスチックとの比較データが詳しく公開されています。

そこでは、段ボールが「リサイクル率90%以上を誇る資源循環の優等生」であることや、プラスチックに比べて「廃棄時のCO2排出量を大幅に抑制できる」といった事実が明確に示されています。また、万が一自然界に流出しても土に還る「生分解性」についても、プラスチックとの決定的な違いとして挙げられています。こうした客観的な事実をぜひ、自分自身の持つべき知識としてしっかり身につけてください。

私たち業界人の使命は、日々の活動を通じてこの価値を社会に訴え続けることです。既存のプラスチック包装を、より魅力的で機能的な段ボール・紙器へと置き換えていく。その具体的「提案力」こそが、再成長の原動力となります。

皆さんの若い感性と学びが、プラスチックに代わる新しい包装のスタンダードを作ります。筆者は業界経験30年以上になりましたが、まだまだ学ぶことばかりです。そのために、世界の紙器、段ボール事業者が集まる「インターパック」展に、遠くドイツまででも出向くのです。このエキサイティングな挑戦を、共に楽しんでいきましょう。早く皆さんお目にかかりたいです。