第140回 『青果パッケージ紙化は本当に売上を落とすのか』(板紙段ボール新聞R8年3月7日付)掲載より

前回の本コラムで、青果物のパックの紙化が思うように進まず透明プラスチックが依然多いのは、「日本人はパッケージを360度回しながら中身を細かく確認し、少しでも傷みがあると買わないからだ」と書きました。ところが読者の方から、「いちいち裏返して見る人はいない」とのご意見を頂きました。
そこで今回は、テーマを少し修正し〝続編〟とさせていただきます。前回紹介した農業法人社長の「青果物パッケージを透明プラからマイクロ段に変えたら売上が落ちた」という話は、本当に事実なのか。改めて確かめてみたくなりました。  私は百貨店地下の生鮮売り場へ。怪しまれない程度に、買い物客の動きと売り場のパッケージを観察しました。

結果はどうだったか。透明容器をひっくり返して確認する客には出会いませんでした。イチゴは中敷きスポンジやモールドが入っており、そもそも裏側から品質確認はできません。刺身や肉、魚もスチロールトレイが主流で、底面は見えません。

それでも私たちは、傷んだ食品に出会うことはほとんどありません。もし品質不良があれば、店のブランドは一気に信頼を失うでしょう。そう考えると、「生鮮食品は360度見えなければ売れない」という前提は、やや誇張だったのかもしれません。

そう結論づけつつ、手ぶらで帰るのも気が引けてイチゴ売り場へ。すると、透明プラと並んで、マイクロ段のパッケージが置かれていました。

迷わず段ボールを選択しました。消費者が紙パッケージを選び、支持する。そうした行動が少しずつ広がれば、青果物の紙化も着実に進むはずです。業界にとってのV字回復は、意外にも売り場でのひとりひとりの小さな選択から始まるのかもしれません。