先月の本コラムでは、日本の段ボール市場は「A式依存」から脱却し、より用途に沿った形状選択へと進化すれば再び成長できると書きました。今回はその続編。この確信をさらに深めるため、海外の農産関連見本市を毎年視察し、新たな生産技術を積極的に取り入れている農業法人の社長にお話を伺いましたが…。
同法人は、自社農作物を段ボール製オープントレイで流通させています。現在、青果物の輸出は行っていませんが、将来的な国際物流も見据え、2㍍の高さまでパレタイズ可能な高い積圧強度を持つトライポストタイプのオープントレイを採用しています。まさにグローバルな視点を持った経営です。
そこで私は、欧州で広がる「ゼロプラスチック」の流れを踏まえ、マイクロフルートの個包装や、プラスチック容器からの切り替えを検討しなかったのかを尋ねました。すると社長は、「もちろん検討した」と言います。印刷が可能な紙器の特性を生かし、ブランド強化を狙って包材コストが上がることを承知のうえで導入し
た。しかし結果として、売り上げは下がってしまったとのことでした。
理由は明快、「日本人は、パッケージを360度回しながら中身を細かく確認する。少しでも傷みがあると買わない。だから中身が見えづらい紙器や段ボール包装は受け入れられにくい。海外では、野菜や果物は多少傷むのが当たり前で、生産者や販売者にクレームを入れることはほぼない」とのことでした。
話を聞いて、日本では無色透明のプラスチック容器が、当面は安泰である理由が見えてきました。脱プラスチックの動きが欧州ほど進まない我が国。背景には、単なる価格重視だけでなく、日本人特有の消費行動が深く関係していると今回の取材で実感しました。引き続き、脱プラおよび紙化推進のために行動する上でも良い機会となりました。