■第78回「発砲スチロールの代替に」(板紙段ボール新聞R3年1月7日付)掲載より
各社業績に大打撃を与えた新型コロナウイルス、残念だから現時点では終息できておらず
不透明感漂う2021年の幕開けです。しかし、紙器段ボール業界が盛り返すビジネスチ
ャンスもあります。
諸外国に大幅に遅れてプラスチック製レジ袋の有料化が昨年の7月1日にスタートしま
した。日本は1一人当たりのプラスチックごみ排出量が米国に次いで世界第二位。環境意
識後進国であること、我々は深刻に考えなければなりません。
一方EU(欧州連合)は海洋汚染を防ぐため、いよいよ今年から使い捨てプラスチック製
品が禁止になり段ボール業界もビジネスチャンスとばかりに新製品を発表しています。
欧州最大手段ボールDSスミス社は、テンパーパック社(米国本社)と環境に負荷をかけ
ずに温度を保つ遮熱性クライマ・セル(ClimaCell)ライナーを医療キットや医薬品、賞味
期限が短い食品のパッケージに導入。クライマ・セルは紙とバイオ素材で構成され使用後
は古紙リサイクルが可能で、プラごみの代表格、発泡スチロールの置き換えが可能となり
ました=イラスト=。最大80時間低温に保て、耐湿性もあり軽量、在庫に必要なスペー
スは最小限と良いことづくめ。当然ながら、外側は段ボールですから印刷が施せるブラン
ドアピールがしっかりできます。
日本で段ボールが木箱から本格的に置き換わって60年。いよいよ発砲スチロールもそ
の座を譲る時代に入ったようです。