第29回 TFPを考える(板紙段ボール新聞H28年12月7日付)掲載より

昨今本紙では段ボール産業におけるTFP(全要素生産性)向上への取り組みが報じられています。これについて現場でどんな改善が行えるか考えてみます。

  

段ボール工場で朝から晩まで同じ箱を生産しているのは、フィリピンのバナナケース工場、ニュージーランドのキーウィケース工場といったところで、世界の大半の工場では多種多様なケースを生産しているため、オーダー毎にコルゲータから製函ラインまでセット替えが必要になります。そのため労働集約型産業になり人手がかかり、長時間労働も恒常化してしまいます。

このような中、少しでも作業軽減でき時短と現場の魅力アップにつながる新技術をレポ ートします。貼合ラインでは通常、原紙ロールをコルゲータのロールスタンドまで、移動に運 動会の大玉転がしのように全身で運んでいますが、これはかなりきつく腰痛の原因になり、 女性には困難な作業です。

今、欧米の工場では絨毯表面のゴミを取る”コロコロ”のような道具、「モビロール」で片手で移動してます=写真=。この道具を使うことで肉体労働の軽減だけでなくスピーディーに、さらに5〜6個のロールを同時に移動させることができるため生産性は格段に向上します。従来は動力源のエアーホースが必要で使い勝手に課題もあったようですが、リチウム電池の進化によってコードレスに。

進化した工場では『モビロール』を駆使することでフォークリフトの進入を減らし安全性が向上しただけでなく、地面からの粉塵も抑制できて職場環境の改善にもつながったそうです。